中建日報　2023年3月13日号

 
建設コンサルタントのウムヴェルト（呉市）が昨年12月に創業40周年を迎えた。「たくさんの『ご縁』に恵まれ生かされてきた」と感謝し、「これからも感謝の気持ちで日々仕事に取り組んでいきたい」と決意を新たにする。
　1982年12月、横浜でプラントエンジニアをしていた父勝氏が故郷呉市で設立した「設計平賀」が始まり。創業から20年が経ち、当時勤めていた建設コンサルタント会社を辞め入社。これを機に機械設計から建設コンサルタントという異なる業種への転換を決意し、社名もドイツ語で「環境」を意味する「ウムヴェルト」に変え再出発した。
　しかし、10年後に勝氏が他界。当時は会社としても苦しい時期だったが、社長を引き継いだ。「父とは衝突も多かったが、精神的な部分で支えられていたと改めて気づいた。これからは自ら考え、すべてを決断しないといけない。自分を信じてやり続けるしか無い」と吹っ切れた。
　「父からはご縁と感謝を大切にするよういつも言われていた」と明かし、「今ではよく理解できる。ご縁によって生かされている」と実感を込める。この思いを大切にし、企業理念の中にも盛り込んでいる。
　ただ、これまでの道のりは決して平たんではなかった。仕事がなくアルバイトでしのいだ時期もあり、何度も挫折しそうになった。その時思い出したのが「いつか必ず芽が出る。諦めずにやり続けよう」と励ましてくれた故勝氏の言葉。「自分を信じてやり続けるしかない」。この思いが原動力につながった。
　信頼を得て仕事をもらうことがどれほど大変かを改めて知った。徐々に仕事の依頼が来るようになると、「数万円、数十万円の仕事がとても嬉しくて仕事ができる喜びと感謝を感じていた」と振り返り、この時の思いは決して忘れない。
　入社して20年間、夢を持って無我夢中で走ってきた。うまくいったこともあれば失敗したこともある。「コロナ禍を経験し、仕事のやり方も変化してきた。40周年を機に、これまでやってきたことを一度整理して、良い部分を伸ばしながら悪いところは修正していきたい」と考えている。
　今後については「チームワークを発揮できるよう組織的に取り組める体制をつくっていければ」と語り、そのためにも社内でのコミュニケーションが重要だと説く。
　「地元にしっかり根を付け、本当に必要とされる企業に成長していきたい」と願う平賀社長。「誠意をもって仕事に向き合える会社を目指していきたい。いや、目指すのではなく必ずなる。『やり続ける』ことで実現できると信じて」